新しい秩序の時代〜注59

公開: 2019年8月3日

更新: 2019年8月xx日

59. 格差社会

20世紀の前半、先進国では、産業化社会が進展して、大きな工場で、同じ製品を大量に生産するため、多くの工場労働者が働いていました。また、その数多くの労働者や、生産それた製品、生産のための材料や部品の管理のために、数多くの事務労働者を必要としていました。膨大な雇用を生み出していたのです。20世紀の後半になると、コンピュータの導入によって、事務作業のほとんどはコンピュータで処理できるようになりました。また、工場の作業でも、かなりの作業を機械化できるようになりました。つまり、生産現場には、ほとんど人がいらなくなったのです。このことから、先進国では、膨大な雇用が失われました。その失われた仕事に従事していた人々の多くは、給与の安い、単純な仕事に従事せざるをえません。そのようにして、多くの人々の収入は少なくなりました。しかし、その反面、企業経営など、人間しかできない仕事に従事できる人々の給与は高くなりました。ただ、そのような高度な仕事に従事できる能力のある人の数は少なく、そのような仕事の数も限られています。このため、そのような高い給与の仕事に就くことができた少数の豊かな人々と、単純な低い給与しか得られない仕事に従事する数多くの人が生まれました。この裕福な人々が作る社会の階層と、そうでない人々の社会の階層が、明確に分かれた社会を「格差社会」と呼びます。この傾向は、リーマンショック以降、各国政府が採用した経済政策の影響で、ますます拡大しているようです。

参考になる読み物